知能ビル・トレーニング®

[量換教育]-知能ビル・トレーニング®-

 

「“量換能力”とは何か」

©1980年 M.Sakurai 量換能力概念図
©1980年 M.Sakurai 量換能力概念図

量換能力=本質的な“頭の性能”

<学力>はより後天的・特殊で、(学習環境情報)によって比較的容易に伸ばすことができます。それに対して<知能>は、より遺伝情報の影響を受け一般的で、急激に変化することのないものです。そして、<量換能力>は基礎知能とも言うべきもので、知能よりも、もっと先天的なもので、6歳ぐらいまでに安定化してしまうものなので、早期教育がのぞまれます。より本質的な“頭の性能”といえます。

「“量換教育”とは何か」

脳=トランジューサー

人間とは、どのようなものか機械にみたてて考えてみましょう。機械とは、F・ルーローの定義によると「抵抗を有する物体の集合体で、限定された相互運動をなし、エネルギーを受け取ってこれを変換したり、有効な機械的仕事をなすもの」です。つまり、機械はその機能的構成として、

①エネルギーを受け入れる部分

②エネルギーを伝達、または変換する部分

③エネルギーの出ていく部分

を必要としているといえます。

これを人間で言えば、①は感覚器(目・耳・皮膚) ②は脳 ③は口・手・足の役目を果たしているといえます。この中で最も重要なのは②の脳です。脳は機械で言えばトランジューサー(変換器)にあたります。つまり、扇風機は電力を風力に、蛍光灯は電力を電光に、トランジューサーが変換することによって機能しますが、脳は目、耳、皮膚から入ってきた刺激を口、手、足の動作に変換する役目を果たしているのです。知能を高める訓練として、イルカ会東京知育研究所では「量感教育」を提唱し、指導していますが、量感教育とは、ITPA(個人内差知能テスト)で検査される「聴覚―音声」「視覚―運動」の組み合わせだけでなく、内量と出量の様々な組み合わせによって、情報が入り出ていく機能をきたえる教育です。つまり、トランジューサーとしての変換機能をきたえる教育といえます。

量換能力発達のための教育プログラム

現在頭脳発達の面に関して、0歳~6歳までの年齢の時期こそこれまで考えられてきたよりもはるかに大切であることが最近になって明確な事実として認められてきました。この年齢における幼児の頭脳発達に関しては、従来にもまして今日もっと大きな脳育を行います。

個人能力と集団能力のバランス 「教育はお稽古」

知的発達の状態を測定し、知能概念の解明を行うと共に個人内の学習能力、思考能力、言語能力、動作能力の発達差に応じた指導を行います。―学習エンジンの早期習得―

「まず内量を豊かにすることが大切である――視覚について」

高等動物は五感が発達していますが、人間において視覚(眼)は他の四感(聴覚・触覚・味覚・嗅覚)に比べて主導的な役割を果たしています。ですから、「眼は心の窓」と言われるように、眼をみればその人の心の状態を知ることができるのです。環境の変化に対して正常な反応をするための手段として、人間は億の心的機能を発達させ、認知しています。ですから、脳の柔軟な乳幼児期に視覚情報を多く取り入れることが知能の発達を促す大きな要因となるのです。また、刺激がなければ脳細胞も発達していかないのです。環境情報の認知ができれば、次にそれに働きかけ出量としての手段が問題になってきます、入量としての知覚と、内量としての記憶・連合、出量としての口・手・足の運動との協応が、発育と練習とによってスムーズにいくようになります。

スイスの心理学者ジャン・ピアジェは「初期発育段階の内りょうを豊富にすることが、子どもの環境への適応能力を伸ばす」と言っています。

ハーバード認識学研究所のバートン・L・ホワイトの実験によると、視覚体験を全く与えられなかった子ども達は、視覚体験を充分に与えられた子どもに対して能力が現れるのに、60パーセントも時間が長くかかったといいます。

「幼児教育の必要性」

潜在的な可能性を伸ばす

イルカ会東京知育研究所では、0歳~18歳までの子どもの、量換教育を行っています。最初に、子どもの情報処理の機能水準、量換能力や、すでに習得している学習状態を検査します。それは、その子どもに適応する指導訓練プログラムを作成するために必要なのです。

検査はC・C・No.、ITPAなどを使用し、量換能力、情報処理・運動能力、判断速度、動作速度、判断動作のバランス、聴覚入量・視覚入量・聴覚内量・視覚内量、動作出量・言語出量・言語構成力・図形構成力、聴覚系列記憶等の子どもの機能を評価します。このようにしてその子どもの個人内発達差を明らかにしますが、検査だけでは不十分です。

私たち指導者は、子どもの状態を注意深く観察し、両親等から報告を受け取ります。顔が千差万別である様に、脳と口、手、足の機能も千差万別です。個々の能力間の差を知ることは、その子の潜在的な可能性を知ることです。そして、この可能性を最大限に伸ばしてやることが私たちに課せられた仕事だと考えています。


イルカ会東京知育研究所 所長 櫻井正孝 著 昭和51年5月1日発行

「-幼児・才能教育のすすめ- 知能ビル・トレーニング® 」より抜粋